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心理・教育×起業・商品開発

第2回目は、「起業・商品開発コース」。
樋口大輔先生と対談しました。


起業・商品開発コースとは

小早川:起業・商品開発コースでは具体的にどんなことを学ぶのですか?

樋口:「経営戦略」「経営組織」「人事」といった『経営学』や『マーケティング』の中心分野を学びながら、実際に商品を開発したり起業を目指したりするコースです。
 企業とコラボして商品開発をしたり、ビジネスマンを呼んでセミナーを開催したり、実社会とつながる機会をたくさん設けています。僕のゼミは大学祭に模擬店を毎年出展するのですが、一つの会社にみたてて模擬店を”経営する”なんてこともやっているんですよ。
*詳細はコース紹介をご覧下さい。

小早川:起業や商品開発を、実際に体験できるのは面白そうですね。

樋口先生の研究分野

小早川:樋口先生は、どんなことがご専門ですか?

樋口:僕の専門は経営学、特に経営戦略の分野で、ノンバンク(クレジットカード会社など)について研究してきました。ノンバンク業界は、世界的にみても際立ってイノベーションの盛んな分野です。例えばクレジットカードを例に挙げて考えると、日本で作ったクレジットカードを海外のコンビニで利用しても、ちゃんと日本の銀行の口座からお金が引き落とされる。これって何気にハイテクですよね。

 でも、その反面、つい使いすぎてお金の返済に困ったり、中には返せなくなってしまったりする人もいます。ノンバンクは、一見”ハイテク・華やか”な世界にみえますが、別の側面として”人間の欲”を相手にする泥臭い業界だと僕は思っています。そういうところに惹かれました。
だからといって、私生活で自分のお財布の中をキチキチに管理しているということはなく、家計簿なんてつけた試しはありません…笑

「経営・マーケティング」と「人」

小早川:「起業・商品開発」の中でも「人」という観点に焦点をあててみると、「経営者」「消費者」という2つの面があると思いますが、どちらか一方について学ぶのですか?

樋口:この分野で扱う「人」を大きく分けると、経営者や従業員といった「企業の内側にいる人」と消費者のような「企業の外側にいる人」に分かれますが、その両方を学びます。
 例えば人に焦点をあてるテーマとしては、著名な経営者の人となりを知るというのがあります。世界的に有名な経営者、アップル社のスティーブ・ジョブズ氏や現(株)パナソニックの創始者である松下幸之助氏などがどんな背景を持つ人で、どういったリーダーシップを発揮したのかということも関心のひとつです。

小早川:なるほど。その人の生き方や実際の行動選択からヒントを得るということですね。

樋口:そうです。そこから何らかの一般論を導いて、これから経営者を目指す人達がどういうアプローチをしていけば会社をうまく経営できるのかという視点でずいぶん研究が行われたものです。ところが…

小早川:誰しもがビル・ゲイツみたいになれるわけじゃないでしょうからね…笑

樋口:実際は特定の経営者の資質がキーになっていることが多く、他の人が聞いて参考にできるような一般論につなげるのは難しいんです…汗

他の分野との接点は…?

小早川:経営学と心理学の共通点を考えてみたのですが、形のないものに理論や法則化を見つけ出すことだと思いました。
 例えば「マーケティング」も、形がないぼんやりしたものをデータを集めることで理論化・法則化していくことですね。

樋口:人の心という、ぼんやりしたものを扱う切り口では、顧客満足や、従業員のモチベーション・職務満足という研究に長い歴史があります。
 従業員のモチベーションUPを図るにはどうしたらよいか?ということを明らかにするには、まさに心理学の手法の助けを借ります。
 経営という分野は、さまざまな分野の知見をフルに活用しようとしているんですよ。マーケティングのために消費者にアンケート調査をする場合などは、もちろん統計学の手法を使います。

小早川:統計学というと、心理・教育コースの内田治先生の分野になりますね。
 内田先生の専門のひとつが「データマイニング」ですね。よく聞く言葉なのですが、これも経営学と関係ありますか?

樋口:強く関係します。うまくいけば、企業がより多く・効率的に物を売るための方法を発見できるかもしれませんからね。

心理学を利用した交渉テクニック

これはビジネスや恋愛など生活の様々な場面で利用できるかもしれない交渉テクニックです。
皆さんも是非実践してみてください!

◎フット・イン・ザ・ドア (Foot in the Door)
→はじめに小さなお願いをし、徐々に大きな要求をする手法です。
人は小さな要求に応じると人間関係を感じ、次の要求が断りにくくなる、ということに基づいた方法です。
例えば、
「1分だけおしゃべりしませんか?→(OKならば)お茶しませんか?」
というように、少しずつ要求を大きなものにしていくというものです。

◎ドア・イン・ザ・フェイス(Door in the Face)
→最初に大きな要求を提示して、その後小さな要求を通すという方法です。最初の要求を断った罪悪感で、次の要求が断りにくくなる、ということに基づいた方法です。
例えば、
「デートしませんか?→(Noならば)じゃあ、お茶しませんか?」
と、断られたら要求を小さくしていく手法です。

人間の心をビジネスにする新しい発想がビジネスに繋がる

小早川:心理・教育コースと起業・商品開発コースで学ぶ内容を合わせると何が生まれると思いますか?

樋口:少し大胆に考えてみましょう。いま、心の問題って社会問題のひとつとして認識されていますよね。その一方で、そういった社会の問題や課題の解決を志す起業家、「社会起業家」というのが求められている。ここに接点があるのではないかと考えています。
 人間の心の専門家とビジネスの専門家が結びつけば、日本人の心の問題を解決しようとする起業家が生まれてもおかしくありません。

小早川:これまでにない斬新なアイデアだと感じます。「起業・商品開発」といっても、『多角的な視点からの起業』という可能性もあるのですね。
 他には、すでに導入されている事例もありますが、知覚心理学で取り扱われているような「錯覚」を「デザイン」や「エンターテインメント」として商品に利用するのは、まだまだおもしろい発見があるのではないかと思います。

経営豆知識

普段何気なく使うカフェや飲食店、ショップでもさまざまな心理的戦略が使われているのです。樋口先生から「経営豆知識」を教えてもらいました!

◎飲食店の回転率をUPするためには…?
→ランチタイムにお店の回転率を上げたい。
そんなときはお店に流れるBGMをテンポの速い曲♪にすると回転率UP!!!

◎色のからくり
→スーパーでお茶を探しているとき、人は無意識に「お茶=緑」と考えるので、緑色のパッケージを探そうとします。
だから、お茶のパッケージとして赤いパッケージは好ましくありません。
商品パッケージひとつとっても色やデザインが与えるイメージなど、さまざまな配慮が必要になってくるんですね!

☆補足

樋口:マーケティングの分野では、「お店に流れるBGMの種類と、お客さんの行動の間には関係がありそうだ」ということはわかるのですが、そのメカニズム、「人間の中で何が起こってそうなるのか」までは守備範囲ではありません。

小早川:それに切り込むことができるのが、心理学です。最新の取り組みの1つが「ニューロマーケティング」です。ニューロマーケティングはマーケティング活動の中での人の心を「脳の活動」から分析する方法です。

 例えば有名な実験では「コーラA」と「コーラB」を飲み比べてもらい、その時の脳活動を測るというものがあります。1回目はラベルを隠して何を飲んでいるか分からない状態で、2回目はラベルを見せてどちらを飲んでいるかわかる状態で飲んでもらい、どちらが美味しいか判断してもらうのですが、ラベルを見て好みを判断するときには、味の好みに関連する領域とは別に、記憶や理性的判断に関わる領域が関わっている事がわかりました。これは、コーラの名前に対するブランドイメージの影響と考えられます。僕らは消費者としてものを買うときにはあまり色々なことは意識していないし、むしろ味覚には自信がある!と思っている人も多いかもしれないですが、脳活動というレベルでブランド名が影響しているんですね。
 脳活動だけでなく、視線の動きや発汗状態など、人が意識できないレベルで感情を測定する方法は多くあります。また、アンケート調査や購買データ調査など、様々なデータを多面的に分析する方法もすでに用いられています。このような手法はマーケティングやビジネスでもますます応用が可能だと思いますね。

起業・商品開発コースの柱

★マーケティング系:岩本俊彦先生 
★戦略系:樋口大輔先生 
★組織系:池田幸代先生 
★人事系:栁田純子先生 
★ベンチャー系:中尾宏先生 
★IT系:吉澤康介先生 

…と「経営のノウハウ」を各方面のアプローチから研究していきます。
理論だけでなく実際に「つくる」「売る」をやってみる、これが起業・商品開発コースです。