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平成26年度プロジェクト研究報告

「プロジェクトさわら」:佐原の魅力マッピング(アナログ版&デジタル版)の作成

【研究代表者】ケビン・ショート
【研究分担者】原田一平、安岡広志、朴鍾杰、中尾宏、原慶太郎

1.プロジェクト概要
東京情報大学と香取市は、2012年11月に地域連携協定を締結し、市民協働のまちづくりや情報発信コンテンツの開発、地図情報の活用などの連携事業を進めている。本研究では、ふるさとの素晴らしさを後世に伝えようと佐原商工会議所が制作(平成25年3月)した「佐原いろはカルタ」を用いて、スマートフォンやタブレット端末向けの魅力マッピングを作成して、佐原の魅力を紹介することを目的としている。

(1)佐原いろはカルタを用いた魅力マッピングの作成
地理情報システム(GIS)を用いて、佐原いろはカルタと関連する観光地を衛星画像上に表示した(図1)。使用した衛星画像はGeoEye-1(2011年12月26日撮影)データ(空間分解能:0.5m)で、道路、鉄道、駅の基盤データは数値地図2500(国土地理院)のGISデータを使用した。また、平成24年度に作成した散策マップ「北総のパワースポット・香取神宮の森」を用いて、香取神宮自然観察会(平成25年11月10日)を実施し、香取神宮鎮守の森および香取神宮周辺の田園景観を約1時間半かけて散策する自然観察コースを紹介している(図2)。

香取神宮鎮守の森および香取神宮周辺の田園景観を俯瞰的に把握するため、GeoEye-1(2011年12月26日撮影)データを用いて、土地被覆分類図を作成した(図3)。土地被覆分類図作成の解析および精度検証は画像解析用ソフトウェアENVI 5.1(Exelis VIS)を用いた。土地被覆の分類項目はISODATA法(非階層的クラスター分析)により50項目に分類し、ArcGISを用いて次の9クラスに統合した:常緑針葉樹林、落葉広葉樹林、常緑広葉樹林、針広混交林、草地、公園緑地、農地(畑地、水田)、都市域、水域(河川・湖沼)。土地被覆図の精度検証は、第6, 7回自然環境保全基礎調査植生図(2.5万分の1植生図)のGISデータ、GEOSPACE航空写真2500(空間分解能:0.25 m)および現地調査により、平成25年度に作成した土地被覆図を検証した。2014年度は春から秋にかけて香取神宮鎮守の森および香取神宮周辺に生息している生物や植物を調査して、「香取神宮のカントリーハイク・香取神宮とその周辺の里山を歩く」を制作した(図4,5)。

2.成果報告
2013年度の香取神宮自然観察会ではケビン・ショート教授が手掛けたオリジナルコースを市民と共に歩き、2014年度に「香取神宮のカントリーハイク・香取神宮とその周辺の里山を歩く」のマップを制作した。平成27年2月28日(土)に開催された東京情報大学・香取市地域連携フォーラム2015「食と文化とまちづくり」(於:佐原中央公民館)では、ケビン・ショート教授による香取市の自然環境を紹介したマップづくり、中尾宏准教授による地元名産品である無花果(いちぢく)を利用したスウィーツの開発について、研究成果の報告を行った。また、東京情報大学地域連携成果展(於:ギャラリーいなえ)で「佐原の魅力マッピング~行ってみたくなるWebサイト、マップづくり~」の研究紹介を行った。

「プロジェクトさわら」:ソーシャルメディアを活用した地域社会と絆作り

【研究代表者】河野義広
【研究分担者】布広永示、岸本頼紀

1.プロジェクト概要
◆目的:持続可能な地域社会のための体制作り及び市民協働のまちづくり
◆研究内容:
・佐原ソーシャルライブラリの設計・開発・運用(担当:河野)
・本提案における観光情報公開技術の効果分析と評価(担当:岸本)

2.実施報告
◆佐原マッピングパーティー:6/21
・八坂神社周辺のOpenStreetMap(OSM)の情報登録
◆佐原の大祭(夏祭り):7/11~7/13
・OSM情報を利用した佐原山車マップの開発
◆佐原の大祭(秋祭り)& 佐原ハッカソン:10/9~10/12
・佐原ハンターズ:山車の位置情報をみんなで共有するサイト
・さわら飲み歩きマップ:出店や酒造などの飲めるポイントを表示
◆佐原ソーシャルライブラリのプロトタイプ
・各NPO団体との関係構築
・プラットフォーム佐原と連携した情報発信の検討

3.今後の課題
◆佐原ソーシャルライブラリの開発・運用
・サイトのコンセプトデザインの検討&サイト開発
・起業・商品開発コース(中尾ゼミ、池田ゼミ)と連携した情報発信
・佐原関係者の情報発信力の向上(相談コーナーの設置、定期的な講座の実施)
◆佐原マッピングパーティー&ハッカソン
・学生の開発スキルの向上
・他ゼミとの合同イベントとして実施予定
◆地域活性化の評価
・地域活性化に関する評価指標の検討
・各種イベントでの効果測定

「プロジェクトちば」:千葉市との連携協定プロジェクト研究

【研究代表者】堂下浩(本プロジェクトの統括)
【研究分担者】
伊藤敏朗:『千葉市シティセールスビデオの製作』
櫻井尚子、内田治、藤原丈史、栁田純子:『千葉市下田都市農業交流センター(下田農業ふれあい館)を活用した地域の活性化に関する研究』
樋口大輔、堂下浩:『子供向けのアントレプレナーシップ教育講座の開催』及び『アントレプレナーシップ教育の可能性調査』
河野義広:『ソーシャルメディア活用による千葉市花見川区の魅力再発見「花見川どっとcom!」』
西貝雅人、松下孝太郎:『本学学生による文化活動の成果を千葉市民に情報発信するための千葉市生涯学習センターとの連携事業』

1.目的
 本学の方針である「地域貢献」の具現化として、2013年7月25日に本学が所在する千葉市と経済分野における協定書を締結し、千葉市をフィールドした地域連携事業を開始した。本調査は2年目を経過した。本事業は初年度事業として、千葉市の経済活性化を柱として地域連携協定をベースに、学内資源を活用して、自治体との連携強化を図り、地域と連携した新たな教育・研究事業を行い、教育研究を通じた地元への貢献を通じて地域の活性化、そして必修科目「プロジェクト研究」の基礎づくりなどを目的とした。そして2年目を迎えた本事業では、初年度のプロジェクトを取捨選択した上で、千葉市が抱える地域課題の本質に一段と迫り、より適切な問題解決に当たることを目的としている。

2.情報大による研究・教育的側面からの評価(評価者:東京情報大学)
 実施したプロジェクトの本数は計5本、参加教員はプロジェクト統括者も含めて計10人となった。各プロジェクトにおける実施概要と成果を、個別プロジェクト別にまとめると表1の通り。

3.千葉市による行政施策的側面からの評価(評価者:千葉市)
 平成26年度の連携事業を振り返り、協定締結当初から開始した別表の5事業については、協定当事者の市と大学のみにとどまらず、NPO法人や高校など、地域の関係者をスムーズに取り込んだ事業となり、深みを増した内容となった。
 特に、大学近隣の下田農業ふれあい館の活性化策は、教職員と学生、農政部門の市職員と地元が一体となり進めている事業で、今回、地元野菜を使った商品(プリン)の開発から商品化までを行ったことは、市としても市内産品の競争力強化を進めている観点から、連携協定の特筆する成果と思われる。
 本協定に基づく連携事業については、堂下教授をはじめ知見豊かで市政にご理解の深い教職員の皆様にご参加いただき、市と大学相互の信頼関係が十分構築されることで、堅調に推進している。
 現在、連携協定の締結から約2年が経過したことから、従来の取り組みを継続して行うとともに、新規事業の創出について市と大学で協議していく必要があると考えている。平成29年度、設置予定の看護学部も地域医療の推進などに寄与すると思われ、期待している。
 今後も取り組みの範囲を広げ、市と大学をはじめ、地域や企業、各種団体などとの連携を深めつつ、各事業を推進したいと考える。
                                                《文責:千葉市》

4.考察
 表1に記載される通り、各プロジェクトとも平成25年度プロジェクトを発展・深化させながら、平成26年度プロジェクトを完遂することができた。
 具体的には、「千葉市シティーセールスビデオの製作・発信プロジェクト」では納品したコンテンツ数の蓄積が増えただけでなく、作品の質的な向上を果たすことができた。「千葉市下田都市農業交流センター(下田農業ふれあい館)を活用した地域の活性化に関する研究」ではデータ分析に基づくコンサルテーションのフェーズからコンサルテーションに基づく新商品の開発まで進んだ。「子供向けのアントレプレナーシップ教育講座の開催」では参加者及び千葉市からの評価の高かった平成25年度のコンセプトと枠組みを活かしながら、参加する中学校と学生の数を拡大させながら実施することができた。「ソーシャルメディア活用による千葉市花見川区の魅力再発見『花見川どっとcom!』」では本プロジェクトの関係者である区役所、高校、地域のNPO団体、情報大の連携が深まり、質の高いコンテンツを発信したことで閲覧者からのいいね!数を増やすことができた。そして「本学学生による文化活動の成果を千葉市民に情報発信するための千葉市生涯学習センターとの連携事業」では本学学生による写真作品の展示会が生涯学習センターの来場者に定着しつつあり、市民に情報と映像の関わりを通して写真という文化活動に触れる機会を提供することができた。
 上記の通り各プロジェクトでは自治体の担当部局が抱える地域に根差した問題を、学生と教員が主体的に調査・研究することで、一段と当該問題への解決に当たることができた。同時に平成25年度プロジェクトの成果と同様に、参加した学生はプロジェクトのマネジメント力だけでなく、地域住民や行政担当者との度重なる協議を通してコミュニケーション力も高めるなど教育的効果も多大であった。つまり、研究・教育的側面からの効果が総じて高かったと評価できる。併せて千葉市からも行政施策的側面で高い評価を得ることができた。したがって、本プロジェクトは継続的に実施されることで将来的に地域貢献と実学に基づく教育実践を両立させた事業になり得ると論定される。

「総合情報系大学の特色ある情報教育の開発プロジェクト」

【研究代表者】布広永示
【研究分担者】テーマ(a) 布広永示、岸本頼紀、大城正典、大見嘉弘、花田真樹、山口崇志
テーマ(b) 永井保夫、マッキン ケネスジェームス、大城正典、花田真樹、山口崇志
テーマ(c) 三宅修平、久保田達也、成瀬敏郎、圓岡偉男、吉澤康介

(a.)タブレット型端末を活用した情報教育システムの構築と評価

1.研究の概要
本研究では、タブレット型端末を授業の補助機材として活用することを目的として、授業で使用するソフトウェアや教材、個人の学習履歴などの情報をタブレットから利用可能とするためのクラウド型教育システムを実験的に構築し、性能面・操作面などの評価と実運用に向けた実証実験を行った。

2.クラウド型教育システムの特徴
タブレット型端末の利用において、ノートPCと同じ学習環境を提供するクラウド型教育システムとして、次のような機能を持つクラウド型教育システムの学習支援機能を検討した(図1)。
①クラウド型仮想化環境
OSの仮想化環境をインターネットから利用できる形態とする。これにより,場所を問わず学習が可能となる.
②複数端末サポート
クライアント側はPCだけでなく、タブレット・スマートフォン等も対象とし、いずれの機器であってもアクセス可能な接続形態を有する。
③デスクトップ仮想化
デスクトップ仮想化により、ノート型PCと同等のデスクトップ画面を提供する.これにより、どのような機器からの接続であっても、ノートPC型の情報機器と同等の利用環境を有する。
④拡張性
OS仮想化により,学習者の数に応じてすぐに学習環境の準備ができる。

3.システム評価
タブレット型端末とクラウド型教育システムの組合せは、大学だけではなく様々な情報系教育機関での利用を想定している。本研究では、千葉県立柏の葉高等学校に協力を得て実証実験を実施した。学生からのシステム利用に関する評価として、いつでもどこでもアクセスする端末を変えても、プログラミングなどの作業を継続できる点がメリットとして挙げられた。低スペックのPCやタブレット型端末でも高スペックのPCと同等の作業ができるため、高スペックPCを持っている生徒が多くない高等学校の生徒に対しては魅力的であったと考える。

(b) 双方向授業支援システムおよび学習/教育活動支援コンテンツの開発と適用評価

1.双方向授業支援システムに関する研究 (山口,花田,大見,永井)
双方向授業支援システムに関する研究として,以下の個別対応型授業支援システムと能動学習を支援するクリッカーシステムの試作・評価をおこなった.1) 大学における演習系科目では,受講者の知識や理解度がそれぞれ異なるために,講師/補助学生(TA・SA)の受講者に対する個別対応が必須となっている.しかしながら,受講者数が講師/補助学生(TA・SA)に比べて多い場合や能動的な質問を行うことが困難な学生が受講している場合に,受講者に対して十分な対応を行うことができない.そこで,この問題を解決するために,H23年度からH25年度において,受講者の質問をWeb を介して受け付け,補助学生(TA・SA)の携帯するタブレット端末に質問者の位置や質問内容・回答を可視化するシステムを提案・開発し,有効性の評価を行った.H26年度では,H23年度からH25年度の運用実験で発生した問題点を洗い出し,受講者に十分な支援を行うために個別対応型授業支援システムの改良や新機能の開発を行い,有効性の評価を行った.改良点は受講者が使いやすいGUIの検討・開発であり,新機能は受講者が主体的に問題解決を行うためのQ&A機能の検討・開発である.その後,本学の演習系科目(Unix論,Webシステムプログラミング)での運用実験を行い,本システムの有効性を評価した.その結果,質問者数の増加やシステムの利用希望者の割合が高いなど,一定の効果が示された.2) クリッカーを安価かつ簡便に利用できることを意図した,オープンソースであるクリッカーシステムを提案し試作した.試作では,教員がPC1台とWi-Fiルータを用意し,学生がそのルータに接続し,PC上のサーバとWi-Fi通信する方式を前提とした.本システムは,学生のユーザ認証を行わないことなどにより,学生個人と回答との紐づけを一切排除した.これは,学生が気軽かつ正直に回答することを期待したものである.また,Wi-Fi通信が混雑する恐れや高い双方向性を実現するために,学生が回答する時の通信方式にWebSocketを採用した.本システムの動作試験を行ったところ,少なくとも10名強の回答者であれば,クリッカーシステムとして十分に利用できることが分かった。

2.学習/教育活動支援コンテンツに関する研究 (大城,マッキン,永井)
携帯タブレットやスマートフォンなどの高性能な個人用計算端末機を有効に学習/教育活動に活用するために,プログラミングを対象とした,2種類の授業用支援システムならびにコンテンツの試作を行った.H26年度はH25年度に引き続き,以下に示すような追加・拡張を行った: 1)文法上の構造を視覚化する静的視覚化機能,プログラム動作中のオブジェクトの振る舞いなどを視覚化する動的視覚化機能を持ったプログラミング教育支援システムを,Eclipse のプラグインとして提案・実装した.また,学習者のコーディング能力を高めるため,コーディングを段階的にガイドする機能を追加した.学習者は,ガイド機能に従って典型的なサンプルプログラムをコーディングし完成させていくことで,実際のソフトウェア開発者の思考を追体験しながら,自身の完成させた構造が視覚化されていく様子を観察していくことが出来る.本システムはサーバとの通信によって,学習者の進捗をモニタ出来るようになっている.2) 情報技術の教育効果を向上させるために,教育支援システムの提案を行った.具体的には,拡張現実(Augmented Reality: AR)を取り上げ,ARプログラミングを支援するライブラリやツールを試作し,ARプログラミング初体験の学生に対するプログラミング教育に適用し,その教育効果を確認した.

3.成果の公表
・和田崇弘,都築有希奈,三須剛史,石田裕貴,花田真樹,山口崇志,永井保夫,``個別支援システムにおけるQ&A機能の開発,'' 電子情報通信学会 総合大会 講演論文集, No.D-15-9, 2015年3月.
・大見嘉弘,水谷正大,永井保夫, オープンソースによるクリッカーシステムの提案と試作,情報処理学会 情報教育シンポジウム論文集, Vol.2014, pp.201-206, 2014年8月.
・大城正典,永井保夫,段階的コーディングガイド機能およびモニタ機能を持つオブジェクト指向プログラミング教育のための視覚化支援システムの提案,電子情報通信学会 教育工学研究会,第5回ET研究会, ET2014-47, 2014年10月.
・Kenneth J. Mackin, Stereoscopic video support for programming education, Proceedings for the 20th International Symposium on Artificial Life and Robotics 2015, pp.657-660, 2015.

(c) 複合的にクラウドシステムを活用したe-ラーニング学習環境の試作

1.研究の概要
クラウド環境を応用した授業のあり方と、スポーツ学習におけるデジタル機器とクラウドシステムを活用した学習効果について、実験を行いその有効性について検討した。

2.成果
2-1クラウド環境を応用した授業についての実験
①研究担当者の久保田が東京情報大学において担当しているWebマーケティング論、スポーツビジネス論等の授業、および三宅、吉澤が担当している卒業研究の中で、一般に広く利用されているクラウド、SNSなどを授業運営に取り入れ、その効果を検証した。
②Webコンテンツの教材利用においては、Webコンテンツの利用と黒板への板書を通しての教員による解説がワンセットになって初めて高い学習効果が得られることが明らかとなった。
③Youtubeの未来予測コンテンツ、TED(カナダのバンクーバー大規模な世界的講演会を主催している非営利団体。内容の一部がWeb上で公開されている)等のWEB映像講義の聴講においても同様であった。
④授業内でDMM英会話(料金は1回/1日で3,950円、Skypeによる海外在住の方と英会話)の紹介を行い、希望者による体験学習を実施した。その結果、サンプル数は少ないものの3人全員から費用対効果とリアルな英会話の慣れと学習意欲およびヒヤリングのみならず英語による会話力の向上と毎日の英会話の習慣化が見られた。またTOEIC結果15%から36%も向上した。学習成果向上の要因として英会話の回数時間が飛躍的に伸びたことが学習効果につながったのと報告があった。
⑤ Googleドキュメントを利用した情報共有と自己発表を演習として授業を行なった結果、3割の学生が独自の意見をまとめクラウド上に情報共有を行なうとともに再生してプレゼンすることができた。
⑥Googleカレンダーの立ち上げとスケジュール共有を演習授業として行い、3割の学生が活用でき、スキル上位の学生が下位の生徒を個別に指導して全員活用できるようになった。[以上、久保田]
⑦学生への遠隔指導や連絡の手段として、従来は電子メールが一般的であったが、学生のITC環境のスマートフォンへの急激なシフトに伴い、LINEが急速に普及している。そのため、電子メールによる連絡は、即応性という観点からすると学生対して効率が悪く、教員から学生への連絡手段の一部をLINEに切り替えた。一方、卒論の下書きに対する添削指導などでは、従来どおり電子メールと添付文書による指導が必要であるが、学生の「電子メール離れ」により、指導に困難を伴いうケースもあった。今後、学生のITCツール環境の激変に対応する指導方法の検討が必要である。[三宅]
⑧卒業研究の一環として、他人数が編集できるBlogツール(Wordpress)にゼミのサイトを構築し、学生の卒業研究の進捗管理、情報公開の方法等に関するトレーニングを行った。他人に公開するコンテンツ作成の意欲、スキルの醸成には一定の効果があったが、研究関連項目のリサーチ能力、文書作成のための基礎学力不足、モチベーションの維持の点で課題も残った。[吉澤]

2-2スポーツ学習におけるデジタル機器とネットワーク環境の応用とその成果[久保田]
①野球選手を対象に、スマートフォン、および、Gopro(身体装着型カメラを野球ヘルメットに取り付けた)による撮影を行ない、そのコンテンツをネット上に公開してアドバイスを受ける事を試みた。
②実地調査とインタビューの結果、すでに野球選手のほとんどが自主練習においてスマートフォンによりムービー撮影し、その場で再生して自己分析を行い、学習成果があがっている事がわかった。特に、自分でプレイした直後のデータ確認により時間差がないことで、その場で改善フォームを試すという即時学習効果があることがわかった。
③一部の選手にムービーコンテンツをYoutubeにアップし、先輩、コーチ、旧友などに感想や意見を募ってもらうことを試みた。その結果、意外な効果が浮き彫りになった。これまで自己診断が一定の枠に止まっていたのに対して、第三者からの感想はその枠以外の評価基準により評価を受ける事になり、改善の大きなヒントとなることがわかった。特に幼少の頃から長年にわたり指導を受けて来た遠方にいる監督から、映像のデータ解析とアドバイスを受けたことには大きな効果があった。
④Youtube映像による遠隔からのアドバイスは時間的制約、距離的制約から解放された学習指導を受ける事ができ、第三者的視点での映像データ解析は自分視野に止まった範囲での狭義なデータ解析にとどまらず自己改善をブレイクスルーできる可能性のある学習手法であることが分かった。
⑤Goproによる撮影は、残念ながら揺れが大きく撮影には不向きであったため、装着装置を改善中である。

2-3 スポーツ学習におけるスマートセンサーの活用[久保田]
①2015年初期に発売されたスポーツ自己診断機器スマートセンサー(テニスラケットのグリップ先端部に装着して、ラケットの回転、速度、打点などをセンサーにより測定)を使ってスポーツの学習効果を測定し、その効果を確認する予備研究を行った。
②このスマートセンサーは、GPSによる軌道データ解析からラケットがどのような軌道で振られたか、ラケットの面がどの角度で回転したかを3次元で測定する。また振動センサーによりボールがガットに当たったときの衝撃度、ボールの反発係数と初速度、回線方向と回転数、打球の方向と速度を解析する。データ結果はBluetoothによりスマートフォン(iPhone6)に送信後、あらかじめダウンロードされたアプリにより複数のグラフとして視覚的、直感的に自己診断できる装置になっている。
③1回2時間、週2回にわたり壁打ちして久保田が実験した。
④軽量小型なため違和感なくラケットを振る事ができた。
⑤従来はとらえることが難しかった情報、すなわち、「ボールがラケットのどの地点にヒットしたのかという打点の位置」、「打ち方と力の入れ方を変えた場合のラケットがボールをヒットする瞬間の打球速度と回転数、回転方向、スウィングスピード」が鮮明にグラフに見える化されるため自己分析としてはたいへん役立つ情報源であると認識できた。また、データが視覚化・客観化されることで、フォームと打ち方の修正や新たな改善ポイントを短時間で効率的に試行錯誤しながら成果を上げることができた。
⑥また、映像撮影によるデータとのシンクロ化が可能なため背面から自分フォーム確認でき、データとの照合でどのような打ち方をしたときはどのような数値が得られるのかも解析できた。今後は試合でのデータ収集と解析と映像のYoutubeアップと第三者的解析も視野に入れて研究する予定である。

3.まとめ
以上の結果をふまえ、研究担当者間で議論した結果、クラウド環境、ネットワーク環境、IoTに代表される新しいデジタル機器などは、次のような点できわめて可能性の高い学習教材であるとのコンセンサスが得られた。
①クラウド環境をうまく使うことで、授業の内容の高度化、効率化が図れる。
②クラウド環境を通じたコミュニケーションにより、スポーツ学習における自己の思い込みと勘違いに対して第三者的、客観的再確認ができる。
③スポーツ学習において、デジタル機器を使うことで、現場での発見や発想をその場で試し、修正し、効率的な学習ができる。