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データサイエンス学系 データサイエンス基盤研究室:釣井 達也 准教授


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奥深き数学の世界を探検する

数学の面白さを追求
 「小学校で算数、中学校・高校で数学を学んできてもう十分と思うことなかれ、その先にも数学の世界は果てしなく広がっています」と話すのは、釣井達也先生だ。
 大学に入学して数学の授業を受けると、その難しさと厳密さに圧倒される人も少なくない。釣井先生もその一人だったという。
「私が最初に驚いたのは、『0の一意性を証明せよ』という問題でした」
 これは「0がただ一つしか存在しないことを証明せよ」という問題だ。大学の数学では、このようなことまでの証明が必要であると同時に、「一から数学を組み立てていくことの面白さであることを感じました」と釣井先生。
 厳密な論理によって証明された事実は、その証明が間違っていない限り、この先もずっと正しいことが保証される。三平方の定理は100年後も1000年後も正しいのだ。

数学の面白さを追求


ハイパー群とは何だろう?
 釣井先生の研究テーマのひとつが「ハイパー群の構造問題」だ。
 高校生に、まず群について簡単に説明すると、群とは、大まかに言うと「ある対象の対称性を記述するための数学」のことだ。厳密には、群の公理と呼ばれる条件を満たすものが群と呼ばれる。「具体例を一つ考えてみます。正三角形を一つ思い浮かべてみましょう。正三角形は、重心を中心にして右に120度回転させると、元の三角形に重なります。240度回転させても同様です。このように、元の図形とピッタリ重なる操作は合同変換と呼ばれます。正三角形の合同変換を集めたものが、群の例の一つです」
 次に、ハイパー群とは、群の概念を一般化したものであり、最も簡単な例として正三角形の辺上の対称ランダムウォークから得られるハイパー群がある。「出発点をO、その他の頂点をA、Bとして、正三角形の辺上をぐるぐると動き回ることを考えてみてください。ただし、1-ステップで別の頂点に移動する確率はそれぞれ1/2であるとします。距離1動くことをC_1で表すとすると、距離1動いてから更に距離1動くと、1/2の確率で原点にいるか、1/2の確率で原点から距離1離れた点に存在することになります。これをc_1 c_1=1/2 c_0+1/2 c_1と表します。この式が、正三角形の辺上の対称ランダムウォークから得られるハイパー群の構造を表した式となるのです」と釣井先生は話す。
 「ハイパー群の構造については、まだわかっていないことも多いです。どのようにしてハイパー群が得られるかを含め、その構造に着目して研究を行なっています」

量子ウォークとはなんだろう?
 釣井先生の研究には、「量子ウォーク」もある。これはランダムウォークの量子版と言われている。量子ウォークは、量子コンピュータへの応用も研究されている数学の分野の一つである。
 「みなさんは量子という言葉を聞いたことがあるでしょうか。量子とは、物質やエネルギーの最小単位のことを言います。量子という非常に小さな世界では、物質の挙動は我々の想像と異なる現象が起こるのです。私が研究対象にしている『量子ウォークの周期』もその一つです」
 例えば、先程と同様の正三角形の辺上のランダムウォークを考えてみよう。このとき、n-ステップ後はどこの頂点にいるだろうか?
という問題は、ランダムウォークの基本的な問題の一つとして挙げられる。
 「詳細は省略しますが、nをどんどん大きくすると、各頂点に存在する確率はそれぞれ1/3ずつに収束していきます。つまり、将来的にはどの頂点にいるかはっきりしないのです。ところが、これと同様の問題を量子ウォークで考えると、あるタイミングではどの頂点に存在するのかがはっきりとわかる場合があります。これが、『量子ウォークの周期』と呼ばれるものです。どのような状況下で量子ウォークが周期を持つかという問題は、量子ウォークの中でも興味深い問題の一つであり、私の研究テーマにもなっています。

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