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平成25年度プロジェクト研究報告


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「プロジェクトさわら」:香取市住民自治協議会(小学校区)を対象とするGISの社会科学的活用の研究

【研究代表者】武井敦夫
【研究分担者】浅沼市男、岩本俊彦、圓岡偉夫

 本研究は地域連携協定を締結した香取市を対象としたプロジェクト研究であり、本年で3年目である。本年度はGoogle Map、Google Earth、ArcGISなどの地理情報システムを柔軟に活用して、香取市より要望を受けた緊急時用の井戸地図を作製した。地図は同市第一山倉小学校区(新里区、小川区、桐谷区、鳩山区)地域まちづくり計画の支援のため、同区で行われたアンケート調査を基礎データとし、印刷用とweb公開用の2種を作った。著作権等を考慮してESRI社のArcGISを基盤とした。
これらの地図は浅沼教授が中心となって作成し、「まちづくり協議会」で活用していただける予定である。

 また本年度の研究活動を通じて以下の論文をまとめ本学紀要に公開した。
圓岡偉男・武井敦夫・岩本俊彦「生活情報としての地域情報 ―地域情報再考―」
『東京情報大学論集』Vol.17No.2(2014)pp.41-55
http://www.iic.tuis.ac.jp/edoc/journal/ron/r17-2-4/index.html

「プロジェクトさわら」:佐原の魅力マッピング(アナログ版&デジタル版)の作成

【研究代表者】ケビン・ショート
【研究分担者】原田一平、安岡広志、朴鍾杰、中尾宏、原慶太郎

1.プロジェクト概要
東京情報大学と香取市は、2012年11月に地域連携協定を締結し、市民協働のまちづくりや情報発信コンテンツの開発、地図情報の活用などの連携事業を進めている。本研究では、ふるさとの素晴らしさを後世に伝えようと佐原商工会議所が平成25年3月に制作した「佐原いろはカルタ」を用いて、スマートフォンやタブレット端末向けの魅力マッピングを作成して、佐原の魅力を紹介することを目的としている。本研究は以下の3つのテーマに分けて研究を行った。

(1)佐原いろはカルタを用いた魅力マッピングの作成
地理情報システム(GIS)を用いて、佐原いろはカルタと関連する観光地を衛星画像上に表示した(図1)。使用した衛星画像はGeoEye-1(2011年12月26日撮影)データ(空間分解能:0.5m)で、道路、鉄道、駅の基盤データは数値地図2500(国土地理院)のGISデータを使用した。また、平成24年度に作成した散策マップ「北総のパワースポット・香取神宮の森」を用いて、平成25年11月10日にカブスカウト、市民活動団体(約60名)を対象に香取神宮自然観察会を実施し、香取神宮鎮守の森および香取神宮周辺の田園景観を約1時間半かけて散策する自然観察コースを紹介している(図2)。
http://www.t-net.co.jp/irohakaruta/project03.pdf
http://www.t-net.co.jp/irohakaruta/project04.pdf

(2)佐原いろはカルタのWEB作成
佐原いろはカルタと連動し、「行ってみたくなるWebサイト」をコンセプトとして、タブレット端末やPCで楽しく見ることができるWebサイト(http://ns.flash.tuis.ac.jp/sawara2/)を制作した。1つは、詳細な拡大地図で、地図内にカルタのマーク、印刷用にダウンロードボタンを配置している。2つ目は、佐原地域の地図を簡略化したクリッカブルMAP形式で構成し、画面上のカルタをクリックするとカルタの絵柄がアニメーション表示され、地図にある位置が表示される(図3)。その他のページとして、「佐原の町並み」を含む地域の様々な写真をスライドショー形式で紹介している。
http://www.t-net.co.jp/irohakaruta/project01.pdf
(3)AR観光地図について
スマートフォンやタブレットの普及に伴い、地域からの情報発信は、従来の紙媒体からデジタル機器の特性を活かしたデジタル情報へと変化している。しかし、多くの情報は紙媒体を単純にデジタル化した情報であり、デジタル機器を十分に活用できているとは言えない。そこで、観光地図の2次元情報をAR(Augmented Reality:拡張現実)により3次元の情報を提供する。香取市は伊能忠敬旧宅などの重要伝統的建造物が存在する。江戸から続く町並みの観光地図からデジタル機器を介し、3D表示することによりリアルな情報を提供できる(図4)。また、佐原の山車行事として重要無形民俗文化財に指定(2004年)された佐原囃子の演奏で総踊りする動画(着物美人)をARにより制作した(図5)。
下記URLにアクセス後、AR佐原手踊り美人をダブルクリックするとYouTube上の動画が再生される。
http://www.t-net.co.jp/irohakaruta/project02.pdf

2.成果報告
平成26年2月15日(土)に東京情報大学・香取市地域連携フォーラム「地図がつなぐ“まちとひと”」(於:佐原中央公民館)で「佐原の魅力マッピング~行ってみたくなるWebサイト、マップづくり~」の研究報告を行った。また、平成26年2月27日(木)に東京情報大学地域連携成果展(於:ギャラリーいなえ)で「北総のパワースポット」、「AR観光地図について」、「佐原いろはカルタを用いた魅力マッピング」の研究紹介を行った。今後は「佐原いろはカルタ」と関連する観光地を3D化した歴史的建物や動画にAR機能を付加したAR観光地図を作成して、リアルな情報を提供する予定である。

「プロジェクトさわら」:ソーシャルメディアを活用した地域社会と絆づくり

【研究代表者】河野義広
【研究分担者】布広永示、岸本頼紀、山口崇志

1.プロジェクト概要
◆テーマ:ソーシャルメディアを活用した地域社会と絆づくり
・佐原の街が今後100年、200年、それ以後と続いていけること
・市民協働型のまちづくりと情報発信がテーマ
◆目的:市民一人ひとりの情報発信力の向上、魅力的なコンテンツの提供

2.実施報告
◆佐原の街の情報を蓄積し発信していくWebメディア『佐原ソーシャルライブラリ』
・目的:佐原の街の持続可能な地域社会と絆作り
・コンセプト:街の情報を収集し、蓄積しながら成長していくメディア
 ◎街の歴史や最新情報(プラットフォーム佐原等と連携)
 ◎NPO、市民活動団体の活動実績
 ◎地域住民や来街者の声(ソーシャルメディアで収集)
 ◎情報大の研究成果(いろはかるた、山車のルートマップ)
 ◎ゼミの学生が卒業研究として研究中
◆佐原の大祭での山車のルートマップ表示
 ・山車の経路情報を表示するWebサイトの開発
 ・ゼミの学生が卒業研究として研究中
◆情報発信
・調査結果はシステム開発コースFacebookページで随時発信中!
https://www.facebook.com/tuis.system

3.今後の可能性
◆目指すべき未来
 ・佐原ソーシャルライブラリに情報が蓄積されていくこと
 ・関係者それぞれが情報発信者として自立できること
◆ソーシャルメディア活用実践講座の定期的な開催
 ・市民活動団体、商店街の方を対象としたFacebookページ講座
 ・地元の中高生を対象としたソーシャルメディアリテラシー講座
◆一般市民の参加を募る仕組みの検討

「プロジェクトちば」:千葉市との連携協定プロジェクト研究

【研究代表者】堂下浩(本プロジェクトの統括)
【研究分担者】
伊藤敏朗:『千葉市シティセールスビデオの製作・発信プロジェクト』
櫻井尚子、内田治、藤原丈史:『千葉市下田都市農業交流センター(下田農業ふれあい館)を活用した地域の活性化に関する研究』
樋口大輔:『子供向けのアントレプレナーシップ教育講座の開催』
河野義広、山口崇志:『ソーシャルメディア活用による千葉市花見川区の魅力再発見「花見川どっとcom!」』
柴理子:『千葉市の若者を対象とする文化意識調査に関する研究』
西貝雅人、松下孝太郎:『本学学生による文化活動の成果を千葉市民に情報発信するための千葉市生涯学習センターとの連携事業』

1.目的
 本学の方針である「地域貢献」の具現化として、2013年7月25日に本学が所在する千葉市と経済分野における協定書を締結し、千葉市をフィールドした地域連携事業を実施した。本事業は千葉市の経済活性化を柱として地域連携協定をベースに、学内資源を活用して、自治体との連携強化を図り、地域と連携した新たな教育・研究事業を行い、教育研究を通じた地元への貢献を通じて地域の活性化、そして必修科目「プロジェクト研究」の基礎づくりなどを目的とした。

2.情報大による研究・教育的側面からの評価(評価者:東京情報大学)
 実施したプロジェクトの本数は計6本、参加教員はプロジェクト統括者も含めて計11人となった。各プロジェクトにおける実施概要と成果を、個別プロジェクト別にまとめると表1の通り。

3.千葉市による行政施策的側面からの評価(評価者:千葉市)
これまで千葉市と東京情報大学とは、市内中小企業の支援や商店街の支援などの事業において個別に連携を図ってきた。
 今回の地域経済活性化に関する協定は、より広範な分野で東京情報大学との恒常的な連携の枠組みを構築するとともに、当該協定を個別事業において連携する根拠とすることによって、より一層の連携事業の拡大や意思決定の迅速化を進め、連携の継続・発展を図ることを期待し締結したものである。
 平成25年度の取り組みにおいては、東京情報大学が有する知的・人的資源を十分にご活用され、地域経済の活性化に多大なる寄与をいただいたところである。特に、中学生のための起業体験講座においては、教員・学生はもとより、近隣の企業、商店街など地域と一体となった事業が実施できたことは、子ども達の起業家精神の向上だけでなく、市が推進する協働事業のモデルケースにもなった。
 実施された各プロジェクトにおいて、東京情報大学からの積極的な取り組みに感謝申し上げるとともに、市が直面する社会的課題の解決に向けた方向性が示されたことから、平成26年度以降も継続的な連携を期待し、新たな連携事業も構築していきたいと考えるものである。

4.考察
表1に記載される通り、各プロジェクトでは自治体の担当部局が抱える地域に根差した問題を、学生と教員が主体的に調査・研究することで、総じて当該問題への解決に当たることができた。同時に、参加した学生はプロジェクトのマネジメント力だけでなく、地域住民や行政担当者との度重なる協議を通してコミュニケーション力も高め、教育的効果も多大であった。したがって、本プロジェクトは今年度以降も継続実施され、今後必修科目「プロジェクト研究」のテーマとして積極的に活用すべきであると論定される

「総合情報系大学の特色ある情報教育の開発プロジェクト」:タブレット型端末を活用した情報教育システムの開発

【研究代表者】布広永示
【研究分担者】岸本頼紀、大城正典、大見嘉弘、山口崇志、花田真樹、郷間佳市郎

1.はじめに
大学における情報教育やリテラシー教育などにおいては、授業を支援する補助機材としてPCの活用が進んでいるが、昨今では、「タブレット」型端末の機能・性能が向上し、世の中での利用が拡大している。このような状況を鑑み、本研究では、タブレット型端末の動向と情報教育システムの現状と課題について記述する。次に、タブレット型端末を授業の補助教材として活用した場合の課題と対応策を考察する。最後に、タブレット型端末を用いた次世代教育システム仮想環境の構想について記述する。

2.タブレット型端末の動向と教育システムの現状と課題
2.1 タブレット型端末の動向
タブレット型端末は、メーカー毎の機能・品質が均質化する等のコモディティ化が進み、また、これに伴う価格低下も進んだことから、近年、一般コンシューマーの利用だけでなく、ビジネスシーンにおいても積極的に活用されるようになってきた。
ノート型PCが従来担ってきた役割をタブレット型端末が担うことが可能となってきた背景には、Bluetooth通信機能を利用したキーボートとマウスの利用がタブレット型端末で一般化したことがある。利用者の視点からの使い勝手としても、両者の差はなくなってきており、このことがタブレット型端末の利用を促進したといえる。また、クラウド利用や仮想化技術の進歩もタブレット型端末の利用を促進している。従来はアプリケーションの利用はネットワークを介さないスタンドアロンな閉じた世界で行う必要があり、このような環境では高性能なCPUと大容量なHDDが必須であった。このため、現在のタブレット端末のような廉価なクライアント機器では利用に支障をきたしてきた。しかし、高速なネットワークが整備されるに従い、ネットワークを介した先のサーバやクラウドで、アプリケーションやサービス、場合によってはPC環境を仮想化した「仮想デスクトップ環境」を利用することが一般的に可能となってきた。このような環境の整備によって、タブレット型端末の有効性が注目されてきている。

2.2 教育システムの現状と課題
 タブレット型端末の台頭を受け、教育システムの中でもタブレット型端末を導入する試みが進められている。しかし、単に「直感的にわかりやすい」という操作性だけに着目してタブレット型端末を導入しても、その価値は十分に発揮できない。ノート型PCとタブレット型端末とでは、前提とするアプリケーションの利用形態が異なることへの注目が必要である。
現状の教育環境は、もっぱらノートPCの利用を想定して設計されている。学生はアプリケーションを自らのノートPC上にインストールして利用し、E-MailやWebを使って情報を交換・収集するような利用形態を前提としている。しかし、タブレット端末の利用において、それらはネットワークへの「窓」として機能することを前提としている。アプリケーションも、場合によってはデスクトップ環境そのものも、ネットワークを介したサーバやクラウド側にあり、これを利用することを想定している。つまり、想定される環境が異なるのである。このことは、タブレット型端末を教育環境で効果的に利用するためには、学内のネットワークやサーバ環境を見直し、全体的な最適化の検討が必要であることを意味する。
このような最適化は、クラウドの台頭に伴いビジネスシーンにおけるインターネットの世界で起こったシステムの「所有」から「利用」への変化と基本的な考え方は合致しており,インターネット世界の趨勢であると言える。つまり、重要なもの(研究成果や個人情報)やコンピュータパワーを必要とするものをできるだけクライアント側に置かず、サーバ側に持っていくという考え方に沿った教育システムの検討が重要となってくる。

3. タブレット型端末の活用における課題と対応
3.1 タブレット型端末とPCとの操作性の違い
 タブレット型端末はPCと対比して下記の特徴を持つ。
A)PCの主な入力デバイスがキーボード・マウス(ポインティングデバイス)であるのに対し、「直観的にわかりやすい」タブレット型端末は利用者がタッチセンサタイプのディスプレイに直接タッチすることで操作する。文字入力についても標準ではソフトウェアキーボードをタッチセンサタイプのディスプレイに表示し、利用者が直接タッチすることで文字の入力や変換を行わせる。
B)PCでは、画面のスクロールについてはマウス(ポインティングデバイス)のホイールボタンやアプリケーションが出すスクロールバーをマウス(ポインティングデバイス)でドラッグすることで実現する。タブレット端末では、スワイプ操作、フリック操作などでスクロールを行う。
C)PCにおける表示の拡大・縮小は、OSもしくはアプリケーションの当該機能を使う。タブレット型端末では、ピンチアウトによって拡大、ピンチインによって縮小する。
D)PCは用途に合わせてディスプレイサイズを変更したり複数ディスプレイとしたりする使い方が一般的である。タブレット型端末の場合は上記操作性のため、プレゼンテーション用途以外では外部ディスプレイを使用することは少ない。
E)これまで有線LANが先行して普及したことから、教育現場における通信手段は現時点において有線LANを主な通信手段としている。教育現場で主に用いられるノート型PCは、有線LANポートを持つ物が選択されてきたのに対し、タブレット型端末では有線LANポートを持たないものが多い。

このように、PCとタブレット型端末を使用した場合では操作性の差異があるため、PC用のコンテンツや教材をそのままタブレット型端末で使用した場合、操作しにくい状況が発生する。特に、タブレット型端末においてPC用コンテンツが使いにくいケースとしては、プログラミング、文書作成、CBTやWBTなどのテスト回答入力などが考えられ、このような場合に対応することが課題である。

3.2 タブレット型端末を使用する場合に必要な対応
 教育現場においてタブレット型端末を活用する場合には、3.1で記述したように、タブレット型端末に向いていないコンテンツ、プログラミングや文書作成についての対応が必要となる。
 最初にコンテンツであるが、タブレット型端末の入力操作に向いた表示内容や入力方式に変更する必要がある。次に、プログラミングや文書作成では、タブレット型端末にキーボード・マウスを接続することでPCと同等の操作性を持たせることができる。タブレット型端末にIDEやアプリケーションサーバ、データベースなどをインストールできない点については、IDEやアプリケーションサーバ、データベースなどをインストールした仮想デスクトップ環境を別途用意し、リモートデスクトップ接続して使用することで解決可能である。なお、仮想デスクトップ環境を使用することは、PCごとにプログラミング環境をインストールしたりキッティングしたりするよりも準備や復元・再生が容易であるという副次的な利点もある。
 一方、タブレット型端末を使用する場合に重要である無線LANの設備については、演習室に集合する人員が全員タブレット型端末で通信することを前提とし、プログラミングやCBTやWBTなどの操作に十分な通信帯域を持たせることが必要である。東京情報大学では、各机までの配線をしていたことで、机に着いた状態で各ノート型PCの有線LAN接続可能としている。無線LANの場合も同様に、講義室の机・椅子の配置に合わせて着席した状態で全員が最適な無線LAN通信を行えるような無線状態を作り上げる必要がある。本研究で実施した調査「タブレット端末利用を想定した電波調査報告書」から、単に無線LANアクセスポイントの出力を上げることは、他の無線LANアクセスポイントへの干渉を増やすことになることが分かった。無線LANアクセスポイント同士及びその上位のコントローラが連携して制御し、接続するタブレット型端末に適切な通信帯域を提供する仕組みが必要である。

4.タブレット型端末を用いた次世代教育システム仮想環境の構想
4.1 次世代教育システム仮想環境の目的
 タブレット型端末を活用に対応した次世代教育システムの仮想環境は、従来の教育システムが持つ学習支援、教育支援に留まらず、教育工学にもとづく知識管理の基盤とする。次世代教育システムの目的を以下に挙げる。
・従来型の学習支援/教育支援が行える
・将来の大学入学候補者である小学生、中学生、高校生に対し、情報リテラシー教育基盤として利用させる
・地域と連携した教育及び研究が行える
・他の大学、研究機関と共同で研究が行える

4.2 次世代教育システム仮想環境の機能要件
 次世代教育仮想環境の主な機能要件を以下に示す。
(1)使用するデバイスを従来通りPCをサポートしながらタブレット型端末からも容易に扱えるようなコンテンツマネジメントが行えるものとする。
(2)大学以外の利用者を想定し、大学以外からの利用者に対するインタフェースを持つものとする。また扱う内容に合わせ、適切なセキュリティが確保できるものとする。
(3)大学、研究機関及び、地域、小学生、中学生、高校生に対しコンテンツを提供するため、そのコンテンツ購読者/視聴者の年齢や学習進度に合わせ、コンテンツ内の文章表現を自動で可変するものとする。
(4)大学、研究機関及び、地域と共同研究にあたり、必要なコミュニケーションが取れるソーシャルメディアが使用できるものとする。
(5)教育コンテンツを管理し学習支援をするe-Learningシステムを持ち、SCORM準拠の教育コンテンツ管理・進捗管理が行えるものとする。
(6)電子ブックと連携し、教育コンテンツとしてシームレスに連携できるものとする。

図1. 次世代教育システム仮想環境の主要機能

5.おわりに
本研究では、次世代の情報教育システムとして,タブレット型端末を授業の補助機材として活用する情報教育システムの現状と今後の動向について調査した。次に、授業で使用するソフトウェアや個人データをタブレットから利用するための仮想教育環境について考察し、現状の問題点や次世代教育環境に関する基礎研究を実施した。今後は、本検討結果を元にして、タブレット型端末を用いた次世代教育システム仮想環境を実験的に構築し、性能面・操作面などの評価と実運用に向けた実証実験を行う。そして、実証実験の評価結果から、大学や高校などのグローバルな教育環境として活用できる教育システムの構成や運用方法ついて提案する。

【調査報告書】
・タブレット端末利用を想定した電波調査報告書
  東京情報大学 本館棟(1号館 3F)における無線LANの電波環境の調査報告

「総合情報系大学の特色ある情報教育の開発プロジェクト」:双方向授業支援システムおよび学習/教育活動支援コンテンツの開発と適用評価

【研究代表者】永井保夫
【研究分担者】マッキン ケネス ジェームス、大城正典、花田真樹、山口崇志

1.情報系大学の特色ある情報教育の開発(双方向授業支援システムおよび学習/教育活動支援コンテンツの開発と適用評価)

 本研究は、以下の2つのテーマに分けて実施した。

(1)携帯端末を用いた双方向授業支援システムに関する研究 (山口、花田、永井)
H23年度とH24年度に、演習授業における受講学生に対する学習支援を目的とした、教員/補助学生のための学習支援システムを検討し,試作を行った。H25年度では、H23年度とH24年度の成果を踏まえて、受講学生が質問をより容易に行えるようにするために、提案システムにおいて受講学生が質問を行うGUIの改良を行った。また、提案システムの評価として、アンケートの項目の洗い出しを行い、システムの再評価を行った。提案システムの評価より、質問者数の増加やシステムの利用希望者の割合が高いなど、一定の効果が示された。今後は、質問した学生に対応させるTAをシステム側で決定する機能とFAQを受講学生に表示する機能の2つの機能をシステムに実装し、評価する予定である。

(2)携帯端末上での学習/教育活動支援コンテンツに関する研究 (大城、マッキン、永井)
携帯タブレットやスマートフォンなどの高性能な個人用計算端末機を有効に学習/教育活動に活用するために、プログラミングを対象とした、2種類の授業用支援システムならびにコンテンツを試作を行った。具体的には、H25年度には、H24年度のプロトタイプの設計に基づき、試作をおこなった: 1)Java によって書かれたソースプログラム内に定義されたクラスとそのメンバを視覚化(静的視覚化) し,またプログラムの動作の様子を視覚化(動的視覚化) する教育支援システムを提案した。これらの視覚化機能は特にオブジェクト指向プログラミング教育の初期に有効であるととともに、オブジェクト指向による設計の学習を行う段階においても視覚化による支援は有効であると考え,オブジェクト指向設計の教育における教材および視覚化機能を提案し、部分試作を行った。2)情報技術の教育効果を向上させるために、教育支援システムの提案を行った。具体的には、拡張現実(Augmented Reality: AR)を取り上げ、ARプログラミングを支援するライブラリやツールを試作し、ARプログラミング初体験の学生に対するプログラミング教育に適用し、その教育効果を確認した。

2.成果

齋藤泰斗,花田真樹,山口崇志,永井保夫,"タブレット型端末を用いた個別対応支援システム", 電子情報通信学会 総合大会 講演論文集, No.D-15-8, 2014年3月.

大城正典、永井保夫、"モニタ機能と可視化機能を持つ構造指向による漸次的なプログラム作成学習システム"、電子情報通信学会 教育工学研究会(ET) 技術研究報告、ET2013-97(2014-03)、2014年3月.

Kenneth J. Mackin, "Light-weight tracking for augmented reality", Proceedings for The Nineteenth International Symposium on Artificial Life and Robotics 2014 (AROB 19th 2014), pp.593-595, 2014年1月.

「総合情報系大学の特色ある情報教育の開発プロジェクト」:複合的にクラウドシステムを活用したe-ラーニング学習環境の試作

【研究代表者】三宅修平
【研究分担者】久保田達也、成瀬敏郎、圓岡偉男、吉澤康介

 本学非常勤講師である久保田達也の担当科目「経営組織」「コミュニケーション」「WEBマーケティング」「スポーツビジネス」など(前期後期1年間)において受講生のみが参加できるe-ラーニング環境(無料のクラウド型サービスであるGoogle、Youtube、Facebook、LINEを総合的に活用したe-ラーニング学習環境)を構築・活用し、その学習効果を計測した。
その結果、以下のことが明らかになった。
1. ITスキルのレベル差が開き過ぎており、クラウド環境を構築する基礎授業を行う必要がある.
2. 優秀でやる気のある生徒の学習効果は飛躍的に向上したが、その反面モチベーションの低い学生はクラウドサービス上での提案をしなくなってしまった。
3. 従来の授業(課題提案およびクラウドサービス利用なし)では平均的な成績を残す生徒が多かった。一方、課題を与えてその独自提案を各々クラウド上のe-ラーニング環境にアップさせたところ、この環境では優秀な生徒はより優秀に、劣勢な学生はさらに劣勢になる傾向が見られた。
4. IT教育環境が学生個人の提案力を育成するのではなく、日常の提案力を教育してこそIT環境を効果的に活用できるようになるものと考えられる。

【今後の研究課題】
・教員と学生との1対1の対面学習は個人的能力を伸ばすには効果的である。しかし直接指導するには多大な時間を要する。その補足手段としてとしてSNSを効果的に活用するにはどのようなアプローチが可能か実験研究を行う。
・ブレインストーミングにおいては、積極的な学生同士では活発に行われる。一方対話が苦手な学生達にはSNS上でのコミュニケーションを行わせる事で日常のコミュニケーション能力向上を目指す教育カリキュラムを試作する。
・提案型授業において、優劣の差を広げる結果となったクラウド上のe-ラーニング環境だが、教材・課題内容等を精査することにより、優秀な学生のリーダーシップ育成と下位レベル学生のモチベーションを高め、落ちこぼれを防ぐ提案型授業を試行する。
・反転授業が話題になっているが、無料オンライン講座の学習はどのような効果があるのかについて検証する必要がある。
・一定レベルのe-ラーニング学習環境が構築できた段階で企業(LINE株式会社、産経新聞社など)との共同研究を行う予定である。

「総合情報系大学の特色ある情報教育の開発プロジェクト」:Webを用いた自己カウンセリングシステムによる大学生自己イメージ・メンタルヘルス支援を通じた卒業意欲度への影響に関する研究

【研究代表者】山口豊
【研究分担者】永井保夫、窪田辰政(静岡産業大学)、宗像恒次(筑波大学名誉教授・情動認知行動療法研究所所長)

《はじめに》
大学生におけるメンタルヘルスの問題が数多く報告されている.大学生のメンタルヘルス向上は健康度の高い学生生活を支え,大学生の卒業意欲にとって必要な変数と考えられる.メンタルヘルス支援に構造化連想法(SAT法)の効果が報告されている.また、Web構造化連想法システムが開発され,学会HP上にユーザー登録すれば,必要な時に用いることがでる。このWebシステムも,効果が報告されている(樋口ら,2009)(中嶋ら,2011).
《研究目的》
Webシステムを用いて,大学生を対象にメンタルヘルス支援を行い,心理特性や卒業意欲度向上に効果があるか検討する.
《研究方法》
1.対象者:情報大学学生(分析対象者)介入群(男5名・女4名平均年齢19.89±1.05)統制群(男5名・女5名平均年齢18.50±0.53).
2.介入時期・方法:2013年12月~2014年1月にヘルスカウンセリング学会HP上の自己カウンセリングシステムを用い,SATイメージ療法実施。
3.調査方法:介入前後に自記式質問紙調査を用いて測定。
4.調査項目:属性・各心理特性尺度・自分自信度・授業出席意欲度・卒業意欲度
5.分析方法:SPSS, ver19. により記述統計量、マンホイットニーU検定、ウィルコクスン符号付順位検定を実施。
《結果》
(1)介入前の両群ベースライン値比較
介入前の介入・統制群の尺度値を比較した結果、自己否定感尺度(U=2.596, p=.009)を除き、両群に有意差は見られなかった。したがって、心理指標の比較については、自己否定感尺度を除いて実施した。
(2)各指標記述統計量

(3)介入前後、両群の心理特性尺度値の比較
心理支援の効果を検討するため、介入前後の心理指標を比較した。介入群においては、自己イメージを測定する「自己価値感尺度」は介入前と比較し有意に改善していた(z=2.047, p=.041)。ソーシャルサポート認知を測定する「情緒的支援認知家族内」は介入前と比較し、有意傾向に改善が認められた(z=1.852, p=.064)。行動特性を測定する「問題解決型行動特性」は介入前と比較し、有意に改善していた(z=2.132, p=.033)。メンタルヘルスを測定する「状態不安尺度」は介入前と比較し、有意に改善していた(z=-2.103, p=.035)。
一方、統制群は「状態不安尺度」において介入前と比較し、有意傾向で改善が認められた(z=-1.901, p=.057)が、他指標において有意差は見られなかった。
(4)介入前後、両群の「自分自信度」「授業出席意欲度」の比較
介入群においては、介入前後「自分自信度」(z=2.536, p=.011)、「授業出席意欲度」(z=2.207, p=.027)の有意な改善が認められた。一方、統制群においては、介入前後有意差は見られなかった。
(5)介入前後、両群の「卒業意欲度」の比較 
介入群(z=1.826, p=.068)、統制群(z=.946, p=.344)となり、介入群において有意傾向で改善が見られた。

(3)~(5)図1グラフ参照
《考察》
結果から、介入群においては自己イメージ、メンタルヘルス、問題解決行動特性、自分自信度、授業出席意欲度において、有意な改善が見られた。卒業意欲度においては、もともと介入前において高得点で、天井効果で有意差が得にくいと考えられたが、有意傾向で改善が見られた。一方、統制群においては、メンタルヘルスの1指標においてのみ、有意傾向で改善が見られただけで、他の指標には改善が見られなかった。これらのことから、心理指標および大学での学習意欲態度、本研究目的である卒業意欲度に関し、一定の効果が得られたといっていい。これは、次のことが考えられる。介入群は介入「宇宙自己イメージ法」を実施することで、自分と星などから発する光イメージとが一体化することで、輝く自己イメージ、つまり肯定的自己イメージに変容したと考えられる。続けて「未来自己イメージ法」の実施によって、過去の嫌悪系潜在記憶情報に左右されない未来志向の「笑顔の自分」が浮かび、「本来の自己」で楽しいとの報酬系自己イメージが想像された。そのことで、自分に自信がつき、今まで他者評価、つまり自分の言いたいことや表現したいことを抑える他者報酬型生き方から、自分らしく愉しく生きる自己報酬型生き型が再構築され、不安も減少し、メンタルヘルスが改善して、冷静に問題を考えることのできる問題解決型行動特性が改善したと考えられる。そこで、前向きな生活への意欲が生まれ、大学での授業出席意欲や有意傾向での卒業意欲の改善につながったのではないかと考えられる。
一方、統制群は改善が殆んど見られなかったが、それは心理支援方法が第1に知識習得による認知変容を目標とし、対象者の情動変容が低いこと、第2に直感機能・イメージ化の技法が用いられていないことなどから、顕在情報への働きかけが主となり、潜在記憶情報変容が進まず、統制群の自己イメージが変容せず、各指標が肯定的に変容しなかったと考えられる。本介入方法はWebを用いてどこでもできること、プライベートな悩みなどを言う必要がないこと、1週間という短期での介入で済むことなどから、ポータビリティで簡便、経済的安価である。そこで、今後大学生の自己イメージ、メンタルヘルス、学習意欲や卒業意欲の改善に有効なツールになる可能性が得られたのではないか。

*平成26年度 日本保健医療行動科学学会において、学会発表・論文投稿を実施する。

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