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「地熱発電所冷却塔からの排出蒸気に含まれる硫化水素ガスによる植物影響に関する一考察 ~火山ガス噴気孔周辺でのブナの観察実験~」本学博士研究員と富田教授が参加する研究成果が優秀賞に選ばれました。


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 再生可能エネルギーのひとつとして地熱エネルギーの利用拡大が進められているなか、持続可能な地熱開発のためにも周辺環境の適切な保全は重要な課題の一つです。地熱発電所の冷却塔から排出される蒸気による影響として、排出蒸気内に含まれる硫化水素(H2S)ガスによる植物の活力低下が指摘されています。しかし、地熱発電所周辺の森林に優占する高木性樹種への影響に関する知見は少ない状況でした。
 本研究では、硫化水素濃度が高く暴露頻度が高い地点では、高木性樹種の苗木における葉の可視症状(ネクロシスの発生)と植生指数の低下が認められたのに対し、発電所周辺と同程度の硫化水素濃度と暴露状況である地点では、硫化水素がほぼ検出されない地点の苗木と生育状態に違いが無いことを見出しました。また、硫化水素濃度が高く暴露頻度が高い地点の苗木は葉中の硫黄量が多いことから、硫黄分の蓄積が活力低下に関係している可能性が示唆されました。これらのことから、冷却塔の排出蒸気に由来する地熱発電所周辺の硫化水素の濃度レベルでは、高木性樹種に活力低下の影響は生じない可能性が考えられました。
 本研究は、NEDO委託研究(東北緑化環境保全株式会社、一般財団法人 電力中央研究所、学校法人東京農業大学 東京情報大学、株式会社ガステック)の一環として実施されました。本学の平山英毅博士研究員と富田瑞樹教授(総合情報学科所属)が参加したもので、ELR2022つくば(日本緑化工学会・日本景観生態学会・応用整体工学会3学会合同大会)で優秀賞を受賞しました。