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成育看護分野:山野内 靖子 准教授


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小児期の体験に悩む患者に対する看護師のあり方とは

移行期医療の重要性
 小児期医療の進歩により、多くの子どもたちの命が救われるようになった。小児期に発症した病気をもつ子どもの中には、慢性疾患やその合併症と共に思春期・成人期を迎える人たちも増えている。小児期の医療から、個々の患者にふさわしい成人期医療へ移り変わる間の『トランジション(移行期医療)』が、国内外の重要な課題となっている。また、国内では『成育医療』が小児・母性・父性を中心とした包括的な医療として注目されてきた。子どもを中心とする家族や成育環境、その将来を見通した医療も必要だ。
 「子どもの頃の病気は、大人になってからどのような体験として心身に影響するのか疑問を持ち、ご家族との関係を大切にしてきました。このことは、小児科病棟で働いていた看護師時代からの研究テーマです」と話すのは、看護学科の山野内靖子准教授だ。

小児期の体験に悩む患者に対する看護師のあり方とは


看護師としてではなく一人の人間として患者と真摯に向き合う
 「子どもの頃の病気の体験は、決してマイナスばかりではなく、病気をもつ自分を見つめ、家族や周囲に感謝し、自分の頑張りを認めることで生きる意味につながり、プラスの力となります。看護師はその人の成長の瞬間に立ち会うことで一緒に幸せを感じることができます。特に、小児看護にはそのような場面がたくさんあります」と山野内先生はいう。
 「幼い時から1型糖尿病をもつ高校生のAさんは、『病気があるのが自分、病気でない自分は私ではない』といいます。また、小児てんかんであった大学生のBさんは、学校で何度も経験したてんかん発作について、『この病気は周りを驚かせるが、自分だけが知らない』と。腎臓病のCさんは、自分の進路や就職を考えるとき、『自分の限界がわからないし、誰も教えてくれないと感じる』と話してくれました。さらに、中学生で臓器移植を受けたDさんは、誰もが経験できるわけでない貴重な人生経験として、移植手術とその後の様子を話してくれました」と山野内先生は続ける。
 看護師が小児期の病気に関わる体験を聞くとき、患者からはさまざまな感情がこぼれる。その思いと将来への希望を聞くときは、患者と看護師の立場ではなく、一対一の人間として向き合うことが大切だ。

さまざまな経験で人生を豊かに それがよりよい看護につながる
 看護師は、人の誕生から死まで「一生」関わることができる職業だ。心や体のエネルギーを費やすことが多い反面、患者や家族、多くの仲間と助け合う経験ができ、自分を見つめ、知ることでたくましく成長できる職業でもある。
 「看護師を目指すなら、今できるいろいろな事にチャレンジして、予測できる成功体験だけでなく、自分の意思決定に悩み、より多くの失敗経験を重ねて、人としての引き出しや糧をゆっくり蓄えて欲しいと思います。その経験の糧は、病気や障がいをもちながら将来に向かう患者を支える姿勢となり、言葉となり、看護につながります」と山野内先生はアドバイスする。

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