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情報メディア学系 メディアデザイン研究室:西村 明 教授


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心を揺さぶる音や音楽に知覚心理学でアプローチ

映像作品における音や音楽の重要性
 人間の五感は、外界を知るためのセンサーだ。なかでも視覚から受け取る情報量は、全体の8割強(聴覚が1割程度)と言われている。だが、音楽によって心が揺さぶられる経験を多くの人はもっているはずだ。音や音楽は、映像作品にも欠かせない要素であり、映像で表現したい内容に合った音(効果音、セリフ)や音楽をつける演出(音デザイン)は、作品の出来を左右するといっても過言ではない。
 「音や音楽を聴いたときに人の脳内では、音を感じて頭の中に音のイメージを浮かべる知覚、知覚された音に構造や意味を見出す認知、音から美しさ、感動や調和を感じる感性の順に、情報処理が行われています。この知覚から始まる情報処理過程を明らかにしていく学問が知覚心理学です」とメディアデザイン研究室の西村明教授は話す。

CD音源とハイレゾ音源の違い


技術の発達と共に発展してきた音楽産業
 20世紀には音楽をメディアへ録音し、伝え、再生する技術が発達し、音楽産業は大きく発展した。21世紀に入る直前から、録音・伝送・再生技術の全てにディジタル技術が普及し、インターネットの発達と共に、音楽を聴衆に届けるには情報通信技術が不可欠となった。演奏を聴衆に生で伝えるライブコンサートの動員数も増えてきているが、ここで使われる音響機器も、コンピュータとネットワークでコントロールされるのが普通だ。
 西村先生は「現代の音楽が聴衆に届くまでには、情報技術と結びついた音響技術が必要であり、そうして伝えられる音をどう人間が情報処理しているのかについて科学的に迫るのが知覚心理学です」という。

最近の音響技術に関する知覚心理学の課題
 ハイレゾ(High-Resolution=高解像度)と呼ばれるディジタル音源が登場し、それに対応したオーディオ機器も流通しはじめている。ハイレゾは耳で聞こえない高い音まで記録でき、CDよりも音が良いと評判だ。その理由の一つとして、「ハイレゾは音が良い」と誰かに言われた後に聴くと、良さそうな気がしてしまうという現象がある。
 「これはプラシーボ効果といわれ、この薬は効くと言われて飲んだ薬効成分のない偽薬に、一定の症状改善効果があることと対応しています。他にも、聞こえない音を音響機器が再生することで、本来ないはずの音が聞こえる音として生じることが科学的に明らかになっており、それが音質差の原因であるという説もあります。これを避ける特別な音響機器を使って、プラシーボ効果を避ける科学的な聞き比べの実験を行うと、ハイレゾとCDとの違いが分かる場合と分からない場合があります。それは聴取者に依存するという説もあれば、耳で聞こえない音をどう感じているのかという議論もあり、いまだハイレゾの効果について科学的な決着はついていません」と西村先生は説明する。
 知覚心理学に基づく科学的なアプローチは、これまでノウハウや経験で語られてきた映像作品における音デザインの大切さ、そして音楽が人の心理・行動・知的活動に及ぼす影響なども次第に明らかにしてきた。しかし、今後もまだまだ研究の題材はつきない。

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